気になるバイオニュース、ちょっとマニアックな鉄道模型、心に滲みる酒場、まだバックパッカーという言葉が輝いていた時代の旅の話を中心に、徒然なるままに…


by Katsu-Nakaji

脊髄損傷治療に朗報

久しぶりのバイオです。

バイオの世界は「iPS(人工多能性肝細胞)の登場で再生医療の実用化がぐっと近づいた」と沸いています。京大・再生医科学研究所の山中教授が先鞭をつけたiPS細胞は、ES細胞(胚性肝細胞)の作成と違い受精卵の胚を破壊することがなく、しかもES細胞と同等(一部にはそれ以上という見方も)の分化能力をもっており、患者自身の細胞からも作れることから、倫理上および免疫反応の問題も少ないを考えられるからです。

そんなわけで、国際的に実用化へ向けものすごい競争が起こっています。「日本発のバイオ技術を死守しろ」と、政府は約30億円の予算(2008年度)をiPS研究につけました。

しかし本当にヒトの病気治療に使えるかは未知数で、山中教授も「克服すべき課題は多い」としています。マスコミ(自分もその一部ですけど)を中心に期待だけが先行したフィーバーぶりともいえるかも…。個人的にはしばらく静観したいですね。


それよりも、イギリスからちょっと気になるニュースが入ってきました。ケンブリッジ大のチームが、脊髄損傷の治療につながる研究成果をあげたというのです。


背髄損傷は事故などで脊髄の神経が破壊され体の自由が利かなくなる疾患で、スーパーマン俳優の故クリストファー・リーヴ氏がかかっていたことで有名。これまで、壊れた神経を再生する決定的な方法は見つかってませんでした。理論的には脊髄内の神経を再生することは可能。でも、損傷した部分に形成される瘢痕組織というものが再生を邪魔しているらしいのです。


ケ大チームは、なんとこの組織の中の分子を食べてしまうバクテリア酵素を発見しました。この酵素―コンドロイチナーゼ―はその厄介者を食べて神経を再成長させるだけでなく、損傷を受けていない部分の神経を伸ばして損傷している部分をバイパスして神経をつなげる役割もするというのです。


勿論、脊髄損傷に関しては、その治療のため様々な研究が各国で進行中で、アメリカでは近々体内埋め込み式で電気的刺激により神経線維を成長させる装置が実用化されるとも聞きます。


iPS、iPSと騒いでいるうちに、日本は様々なバイオ分野でさらに遅れを取ってしまわないか心配です。
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by Katsu-Nakaji | 2008-02-21 17:43 | バイオニュース | Comments(0)