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気になるバイオニュース、ちょっとマニアックな鉄道模型、心に滲みる酒場、まだバックパッカーという言葉が輝いていた時代の旅の話を中心に、徒然なるままに…


by Katsu-Nakaji

エチゼンクラゲに大量の注目物質

理科化学研究所はこのほど、信和化工株式会社と共同で、日本海沿岸で大量発生し大きな漁業被害をもたらしている「エチゼンクラゲ」に糖タンパクの一種である「ムチン」が多く含まれていることを発見しました。

ムチンは胃液などの主成分で、その抗菌作用や保湿効果の高さから医薬品や健康維持製品、化粧品の原料として注目されています。また、胃ガンの原因となるピロリ菌の活動を抑える役割があることもわかってきました。

これまで工業利用されてきたムチンはガストリックムチンという家畜からつくられていたものに限られていましたが、理研では、エチゼンクラゲから発見されたムチンが低コストで大量生産が可能な上、化学構造を若干変化させることで高度な医薬品として発展する可能性があるとしています。

毎年数万トンもの規模で発生するエチゼンクラゲ。漁業のみならず工場や原発の取水口をつまらせるなど、工業へも被害も心配されています。今回の発見は関係者にとっては大きな朗報でしょう。

ただ、工業化ということになれば安定的に原料であるエチゼンクラゲを確保する必要があります。「突然いなくなった」ではすみません。そうした事態を回避するためにも、「そもそも、なぜエチゼンクラゲが大量発生するようになったのか?」その原因をきちっと解明することが大切でしょう。また、そのことによって海洋環境の変化についても理解を深めることができ、地球環境対策への応用も期待できます。
by Katsu-Nakaji | 2007-06-19 14:29 | バイオニュース | Comments(0)